1985年に円が対ドル200円の壁を突破して以来2001年まで、円高・ドル安の基調が続いてきたが、20世紀の終わりとともに、円高の四半世紀も終わりを告げようとしているかにみえる。1995年の超円高から2000年末までの流れを、月刊誌「商品先物市場」に寄稿してきた論文を中心に加筆、修正してまとめたのが、本書である。相場のメカニズムと、「通貨マフィア」と呼ばれる各国財務官の動きを解明していくことで、あの乱高下の激しかった日々の裏側で、どんな攻防がなされていたのかを明らかにしていく。 著者は、自由経済社(現マネーアンドマネー)編集長の吉田恒で、財務省や日銀のほか、ワシントンやニューヨークなど内外にわたり、幅広い取材活動を展開してきた人物である。日米の財務担当者の動向にも精通しており、「ミスター円」として名をはせていた榊原英資を中心とした5年間の通貨攻防をまとめあげている。 本書は、5年間の経済戦争をまとめた大河ドラマとして見てもよくできた内容である。日米がそれぞれ勝敗への道をどう歩んできたかを振り返ることは、21世紀、日米の経済はどんな状況になるのかを占ううえでも意義のあることであろう。(朝倉真弓)